スノーボード用ヘルメットの基礎知識と選び方
スノーボードでも、ヘルメットをかぶる人が増えています。理由はいうまでもなく、「頭部を守るため」。ニット帽でもある程度、頭を守ることはできますが、たとえば豪快に後ろ向きに転倒したときや、高速で転倒したときに、派手に後頭部を打ったりすることもあります。そういう場合、ニット帽だけだと恐ろしい事故になることがありますが、ヘルメットがあれば小さな怪我で済む可能性が高まります。
また、外国人スノーボーダーは圧倒的にヘルメット派です。その影響で、「ヘルメットはおしゃれ」というイメージが広がってきたのかもしれません。
なんであれ、ヘルメットは、今やスノーボードの安全のための必需品になりつつあります。ここでは、スノボヘルメットの選び方をご紹介しましょう。
スノボにヘルメットは必要?
そもそも、スノーボードにヘルメットは必要なのでしょうか。これは意見が分かれるところですが、「安全を重視するなら帽子よりもヘルメットのほうがいい」のは言うまでもありません。どんなに上手なスノーボーダーでも、転倒や滑落の可能性はありますし、初心者なら頭からゲレンデ斜面を滑り落ちることもあります。
また、もらい事故で他人のボードが自分の頭を直撃することもあります。こうした危険に備えるには、帽子よりもヘルメットの方がいいに決まっています。
実際、アメリカやヨーロッパではスノースポーツでヘルメットを着用するのは常識です。そのため、欧米人が日本のゲレンデに来ると、ヘルメット率が低くて驚くそうです。そのくらい、「ノーヘル・スノボは世界の非常識」なわけです。
ということで、スノボにヘルメットは必要です。ボード技術とは関係ありません。あなたと、あなたの大切な人を不幸な事故から守るために必要なものです。とくに、子供にはヘルメットを絶対に着用させましょう。
ヘルメットのメリット・デメリット
ヘルメットをかぶるメリットは「安全」ですが、デメリットもあります。一番のデメリットは「着脱が面倒」「邪魔」ということでしょう。これらはその通りですが、着脱の面倒は馴れれば気にならなくなります。バイクに乗るときにヘルメットをするのは面倒ですが、そういうものだと思えば気になりません。
もう一つ、ヘルメットのデメリットとして、「帽子に比べて寒そう」という人もいます。たしかに、ニット帽や毛糸の帽子に比べると、ヘルメットの表面は寒そうに見えますが、これは正しくありません。スノボ用のヘルメットは、防寒対策はしっかりされていますので、かぶっていれば暖かいです。
レーシングモデルとフリースタイルモデル
スノーボードのヘルメットには、大きく分けて「レーシングモデル」と「フリースタイルモデル」の2種類があります。レーシングモデルは高速や競技でボードをするときに用いるもので、頭全体をすっぽり覆う形状です。締め付けもしっかりしていて、外部のあらゆる衝撃から頭部をしっかり保護します。
フリースタイルモデルは、一般のスノーボーダー向けです。軽量設計で頭から耳までをカバーします。耳の部分はソフトなパッド状のイヤーフラップとなっていて、着脱できます。保温効果も考慮されていますし、蒸れないように前方から空気をヘルメット内に流して後方で放出するベンチレーション機能も有しています。
一般スノーボーダーは、フリースタイルモデルを利用すればいいでしょう。
スノボヘルメットの選び方
スノボヘルメットを購入する際に、選び方のポイントはいくつかありますが、まず気をつけたいのは「mips」搭載かどうかという点です。「mips」とは、Multi-directional Impact Protection Systemの略で、日本語では多方向衝撃保護システムと訳されます。
mipsは転倒時に頭部に受ける衝撃を分散して保護する仕組みで、mips搭載のヘルメットは非搭載に比べより安全性が高いとされています。最近のスノーヘルメットの多くはmips搭載ですが、安価なヘルメットは非搭載のものもあるので確認しましょう。当然、mips搭載をおすすめします。
ヘルメットは、頭部をカバーする外側の「シェル」と内側の「ライナー」を結合して作られています。転倒時などにダメージを直接受ける外側の「シェル」には、硬い素材を用います。逆に内側の「ライナー」は衝撃を和らげるクッション性を持たせます。ヘルメットは、シェルとライナーの結合方法で2種類にわかれます。
一つは「ハードシェル構造」で、シェルとライナーを別々に製造し、接着剤で貼り付けます。外側に高強度な素材を用いることで、より高い安全性を確保できます。もう一つが「インモールド構造」で、シェルとライナーを同じ鋳型にいれて成形します。接着剤を使わない利点があり、外側の素材も軽いため軽量化できます。安全性の高さなら「ハードシェル構造」に軍配が上がりますが、初中級者がゲレンデで滑るぶんには、軽量で疲れない「インモールド構造」で問題ないでしょう。
そのほか、ベンチレーション(通気機能)やフィットシステムで製品により違いがあり、価格差につながっています。このあたりは個人の感じ方の違いも大きいので、実際に試してみるといいでしょう。筆者の個人的な感想では、あまり気にしないでいいと思います。
スノボヘルメットのブランド
スノボのヘルメットにはいくつかブランドがあります。SWANS、SALOMON、GIRO、UVEX、Pro-Tech 、REDあたりが人気メーカーです。
このなかで、日本で人気があるのはGIROでしょうか。GIROのヘルメットはアジア人の頭の形に合うように作られているASIAN FITというシリーズがあり、日本人にあうと評判が良いです。ですので、スノボおすすめのヘルメットとしてはGIROが真っ先にあげられます。あまり深く考えたくないなら、GIROの中級モデルで日本人向けに開発された「UNION MIPS」あたりを買っておけば間違いありません。
ただ、他のブランドも悪くはありません。SWANSもおすすめですし、UVEXも人気ランキング上位に顔をだします。
SALOMONはウインタースポーツの定番ブランドとして安心感があります。SANDBOXは、洗練されたデザインで最近人気が急上昇しています。
スノボヘルメットのサイズ
スノーボードのヘルメットを選ぶ際に難しいのはサイズです。ヘルメットは欧米人向けに作られている場合が多いので、日本人のサイズとは少し異なります。サイズもメーカーによって違いますし、同じメーカーでも製品によって微妙に異なります。もちろん、頭の形も人によって異なります。
ヘルメットのサイズの選び方は、少しきつくてもしっかりホールドしてくれるものを選択します。インナーが付いていますので、かぶっているうちに自分の頭にフィットしてくるからです。大きすぎるヘルメットは、カパカパして滑りにくいので避けましょう。
また、重さも大事です。同じようなサイズ感なら、軽いものを選びましょう。重いヘルメットは疲れの原因になります。
実際に購入するときは、試着したほうがいいでしょう。店頭で試着して、楽天やアマゾンで購入すると、少し安く買えます。
ゴーグル着用を考慮する
スノボのヘルメットは、すべてゴーグルが着用できるようになっています。ただ、ゴーグルは、全てがヘルメット対応になっているわけではありません。ゴーグルのベルトが短いと、ヘルメットの周囲を巻いて装着することができません。メーカーによっては延長ベルトが販売されていますので、購入すれば対応できます。
できれば、最初からヘルメット対応のゴーグルを選ぶといいでしょう。ヘルメットと同じメーカーのゴーグルをセットで購入するのもおすすめです。